大企業にとってのスタートアップ投資の在り方

日本の大企業はイノベーションの手段を失う寸前

ここ数年、大企業によるスタートアップ投資*1が活況を呈している。PwCが国内のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)実務者を対象に「CVC実態調査 2019*2」を実施したところ、82%もの回答者がスタートアップへの出資を通じた新規事業の育成や、協業による中核事業の強化といった、事業シナジーをCVCファンド設立の目的として期待していることが明らかとなった。しかしながら、事業シナジーがうまく実現できていると回答した企業は11%に留まっており、多くの企業がスタートアップ投資の手応えを感じることができていない状況にあった。期待と現実がかけ離れた現状のままスタートアップへの投資を継続することは難しく、2000年初頭のITバブル期に電機メーカーなどの大手企業が、スタートアップに対して将来を見据えた投資を行う試みがなされたものの、ITバブルの終焉とともにこの流れが収束した。これは日本の大企業が自らイノベーションを主導するための手段を1つ失ったことを意味しており、成長停滞が続くことが危惧される。

事業シナジーの期待と現実のギャップの原因として、(1)スタートアップ投資の目的が明確になっていない、(2)目的を実現させるための投資プロセス(ソーシング~Exit)となっていない、などが考えられる。中でも、命を担った組織・担当者の目的が「投資すること」に陥り、目新しいテクノロジーを有する企業や新聞を賑わす流行テーマ(直近10年ではクラウド、ビッグデータ、AI、IoT、シェアリング、DXなどのスマート○○)に投資していることで、何かやっている気になってしまっているケースもある。また、中核事業の閉塞感に対して、スタートアップ投資には現状を打開する万能薬のような効力があるのではないかと期待を寄せることで、起こるべくしてギャップが生じている企業も少なからず存在する。本稿では、スタートアップ投資に課題感のある企業やスタートアップ投資を検討する企業が、明確な目的と一貫したプロセスを構築し、現状を打開するためのヒントを提示したい。

既存中核事業との関係性を無視した間接的な目的が主目的になっていないか

事業シナジー実現のためのスタートアップ投資の目的は、対象となるスタートアップと既存の中核事業との関係性により5つのパターンに分類される(図表1参照)。

  1. 既存の中核事業の強化投資
    既存の中核事業のラインナップ拡充、機能の取り込み、技術・テクノロジーの獲得などを狙った投資
  2. 周辺進出投資
    既存の中核事業に隣接した事業・市場への領域拡大を狙った投資
  3. エコシステム拡大投資
    パートナーシップ戦略の一環としてエコシステムの拡大を狙った投資
  4. ディスラプター投資
    既存の中核事業に対して全く異なる技術やビジネスモデルにより、自社に壊滅的なダメージを与えうる企業の技術やビジネスモデルの取り込みを狙った投資
  5. 飛び地投資
    事業シナジーを問わない成長市場における事業機会探索・社会課題解決などを狙った投資

業界人脈の構築、人材の獲得、業界知見の獲得、従業員のマインド改革などもスタートアップ投資の目的としてよく見受けられるが、これらは間接的な目的であり、これらが主目的となっている場合は目的が明確に定まっていない可能性が高く、目的の見直しが必要である。

また、情報集約や異なった投資基準を適用し、取り組みを加速化させるためにCVCを設立することも一般化している。CVCを設立し、社内のありとあらゆるスタートアップ投資のニーズを一手に引き受けることで、目的が上記1〜5の全方位型となり、期待とのギャップが生じやすい構造となることに留意する必要がある。また、CVCの中には純粋な財務的リターンを目的に掲げ、実現しているプレーヤーも存在するが、これらは事業シナジーの実現を目指していないため、事業シナジーにおける期待と現実のギャップは生じ得ず、上記目的からは除外している。代表例としてはGoogle Venturesやグリー傘下のSTRIVEであり、Google Venturesは自身が主要な出資者であったParseをFacebookに、AstridをYahoo!に売却するなど競合へ売却するケースもあり、徹底した財務リターンの最優先性が担保されている。

目的と投資プロセスは一貫しているか

目的が定義されると、投資対象とするステージやExitなどの投資プロセスも規定されることとなる。案件固有の状況により検討されるべきではあるものの、比較対象の基本形として利用し、理由があって変えているのか、意図せず基本形と異なっているのか、を判断するための参考にして頂きたい。

1. 既存の中核事業の強化投資

既存の中核事業の強化を実現させるためには、スタートアップを取り込むこと、すなわちM&Aによる内部化によるExitが目標となる。技術のライセンス契約やJVなどの手法もあるものの、内部に取り込むにはM&Aが最も効果が高い。M&Aではなく出資時に他企業へのサービス・技術提供を制限し、独占契約を要求することで他社との差別化を図る企業も存在する。けれども、このような行為はスタートアップの成長を阻害し、経営陣や他の株主との利益相反が生じるため、出資金の使途を自社向けの開発などに制限する程度に留め、自社とのシナジーや他社との差別化に繋がることが実証できれば早期にM&Aを行うことが望ましい。自社にとって実証後のタイミングではM&Aが困難なバリューエーションになることが想定されるのであれば、出資した後どのように内部化を実現するのか、出資を伴わない協業ではシナジーを実現できないのか、を改めて問い直すことが必要である。一方で、スタートアップ側としては大企業の中核事業で優位性を有していればIPOもターゲットにできる。優良なスタートアップであればあるほどM&Aを前提とした出資や排他的な契約は難しいため、他社への技術・サービス提供は許容しつつ、リードインベスターとして出資比率を上げ、発言力・協業優先度を高めることも選択肢として考える必要がある。

いずれにしても、協業によりスタートアップ企業の有する技術・サービス・製品の優位性が確認可能な段階での出資となるため、ミドルステージ以降が主な対象となる。ミドルステージ以降を対象にCVCとしてポートフォリオを組んで取り組む場合、近年では100億円以上の規模が目安となるが、多くのCVCが十分な金額を確保できてないことでアーリーステージをターゲットにせざるを得ない状況となっている。アーリーステージの企業は、サービス・技術がまだ確立していない段階であるため、投資を行っても成功の確率が低く、時間も要するため、多数の企業への出資と実証が必要となる。さらに、既存の中核事業側からのリソース確保が問題となり、なかなか手応えを感じられないまま徐々に既存の中核事業の協力も得られなくなり、冒頭の「事業シナジーがうまく実現できない」という回答に繋がる失敗パターンに陥りやすい。

近年では、2020年にヤフーが傘下のYJキャピタルの投資先である動画レシピサイト「クラシル」を運営するdelyを子会社化し、国内で企業価値100億円を超えるような規模感をもって*3中核事業を強化するような事例も生じている。

2. 周辺進出投資

既存の中核事業の強化投資と同様に、スタートアップのM&Aによる内部化がExitの目標となり、協業によりスタートアップ企業の有する技術・サービス・製品の優位性が確認可能なミドルステージ以降が主な対象となる。

傘下のCVCを通じて周辺領域を中心とした新規事業創出に繋がる出資を行っている例では化学メーカー(X社)があり、同企業ではポートフォリオ22社*4のうち、2社を買収し社内への取り込みを行っている。グローバルのTop CVCであるSalesforce Ventures(Salesforce傘下)、Intel Capital(Intelの部門)の出資先がSalesforce/IntelにM&Aされる割合が5%未満であることを考えると、X社の同比率は9.1%(22社中2社)*5であり、この3社の全M&Aに占めるCVCの出資先企業の割合はX社の14.3%に対し、SalesforceとIntelはそれぞれ15.6%、15.5%と同等の水準*6である。このことからも、X社はCVCを通じて周辺事業のスタートアップに投資し、M&Aにより自社の事業に組み込むという明確な目的・投資プロセスの設計に成功していると考えられる。実際、買収した2社は、既存の中核事業に隣接していることでCVCからの出資後、即時に事業部門と共同開発を開始し、これが実質的なデューデリジェンスとなりM&Aの投資判断ができるという好循環が生まれている。また、X社のCVCのポートフォリオの半数程度は社内でホワイトスペースに該当する領域とされているものの、同領域からのM&A事例はない。自社に遠い領域での新規事業創出機能を求めるのであれば、スタートアップの優位性が確認されるタイミングまでに自社の事業を拡張し、周辺領域と位置づけられなければ評価・シナジーの創出は困難である。スタートアップ投資による新規事業創出には何を期待し、どのような投資プロセスとすべきかという点で示唆深いのではないだろうか。

出資者は他社に比べて出資先のスタートアップのことをより深く理解できるものの、米国でCVCによる出資を受けた企業が、VCからの出資を受けた企業に対してM&Aをされる可能性が高いとは言えないという分析結果もある*7。M&Aに対する自社のCVCのポートフォリオ企業の割合が15%前後であることからしても、スタートアップ投資をM&Aのパイプラインの主軸に据えるのではなく、1つの手段として捉えることが重要である。

3. エコシステム拡大投資

中核事業のエコシステムを拡大するために関連するプレーヤーに投資を行う場合は、投資先を自社に取り込む必要性はなく、早期から周辺領域と確認可能な幅広いスタートアップをエコシステムに取り入れることが重要であるため、アーリーステージも投資のターゲットとなる。また、エコシステムに組み入れることができれば必ずしも投資は必要ではなく、提携に際して出資が条件となる場合や、自社が成長を支援できる目算の付く際に出資を伴うという位置づけとなる。他の目的に比べてスタートアップとのシナジーが限られることから、人材派遣、共同開発など、どのような関わり方を行うのか、事前に方針を設計しておくことが重要である。

代表的な例としてはSalesforce Ventures(Salesforce傘下)が挙げられる。Salesforceは成長ドライバーとして、自社開発・パートナーシップ・M&Aの3つを定義しており、スタートアップ投資はパートナーシップに該当する。同社自身がSaaSビジネスの開拓者でありCRM領域で世界シェアNo.1*8であることを生かし、知見のない領域でリスクを取るのではなく、同社のサービスに接続した製品を有する企業や同社のフレームワークでサービスを開発している企業、管理システムなどを連携する企業などをターゲットに、累計280社以上のスタートアップに投資をすることでエコシステムを拡大させている。投資先企業は、Salesforceおよび膨大な投資先によって蓄積されたSaaSビジネスのノウハウと、最先端技術などに精通した人材・情報との繋がりやサポートを通じて競争力を高めることが可能となる。また、Salesforceとのシステム連携により膨大な顧客アクセスを活用しつつも他社とのシステム連携を制限されないことで、スピーディーな成長を実現でき、双方にとってwin-winとなるモデルを構築している。このようにSaaSというビジネスモデルで圧倒的なノウハウを有していることで同社は、CRM-SaaSではない周辺領域でリスクの高いアーリーステージを投資対象としても、システム連携によるエコシステム拡大と投資先成長を実現し、DocuSign、Evernoteなどの企業価値100億ドルを超えるユニコーン企業を輩出している。また、新たな柱を構築する新規事業はM&Aが担っている*9が、未知の領域で高いリスクを取ってまで同社の新規事業と位置付けられるほどの規模感があり*10、IPOあるいは他社売却することに比べ他の株主が納得できる水準で買収しても自社のリターンが高くなる蓋然性を得られる可能性を考え、スタートアップ投資はエコシステムの拡大と定め、新規事業はM&Aに担わせるという役割分担も示唆深いのではないか。

4. ディスラプター投資

既存の中核事業を推進している組織にとっては、自身に壊滅的なダメージを与えるプレーヤーへの出資であり、このような企業を発掘し出資した代表例としては自動車メーカーY社によるEVメーカー出資*11やソフトバンク(傘下にヤフー)のAlibabaへの投資が該当する。Y社とソフトバンクの2社は、リターンの捉え方が異なり、前者は各社への出資が数%に留まることから、スタートアップ投資で得たノウハウを自社に取り入れて、自社の事業を成長させること、新規事業として立ち上げてリターンを得ることを主眼としているように見える。一方後者のソフトバンクは、自社に取り込むことなく、Alibabaの株式の20%以上を保有し、持分法適用会社としてAlibaba自体を成長させることが投資収益*12だけでなく自社の連結決算に直結する構造となっている。

Y社のEVメーカーへの出資は出資額の約10倍となる高いリターンを得た一方で、EVの協業では数千台の販売に留まっている。この台数は年間数百万台を販売するY社全体からすると財務的な影響は軽微であることからも、ノウハウを自社に取り込むことまでを目論むのであれば、ディスラプターを発掘・目利きすることに加え、自社中核事業を成長させながらディスラプターを取り込むという難易度の高い挑戦が必要となることを示唆している。

中核事業が大きいほど業績面でも成長期待の両面で投資先の与えるインパクトは小さく、ディスラプターのビジネスモデルや技術をインパクトあるレベルで取り込むには、現状の収益源である中核事業を否定し、リスクを恐れず大きく変革することが必要である。中長期の時間を要する、もしくは巨額の投資が必要な大きな意思決定となることから、企業のトップが強い危機感を持って投資を主導し、将来自社の中核事業が投資先を核として巨額な投資とともに改革を進めるというコミットメントを引き出せることが本目的で投資を行う前提となる。投資前に候補先の幹部と対等に面談を行うことも必要であろう。

また、自社の中核事業を代替することを求めているため、トップランナーと目される企業に集中的に投資し、最低限でも取締役会のオブザーバー権、可能であれば取締役を派遣する程度まで関与を高め、獲得を試みている技術やビジネスモデルを正確にトップに直接報告し、意思決定を仰げる体制(出資元に情報を共有するには、都度投資先の同意を得るか投資契約における同意が必要)が必要である。その際、買収せず投資先のノウハウを転用して投資先の競合となる製品・サービスを開発することは、レピュテーションを傷つける・競業避止義務に違反し、継続的なスタートアップ投資の妨げとなるリスクもあることにも留意したい。トップランナーがいよいよ脅威となるようなレイターステージで出資を試みることは手遅れ・高リスクとなり、既存企業にとって買収が困難*13なバリュエーションになることや、AltriaによるJUUL出資では約130億ドルで35%の株式を取得したが、2019年末までに合計86億ドルという巨額減損を行っているように業績に大きなインパクトを与えているような事例もある。このことからもトップランナーであることがある程度明らかになるミドルステージでの出資検討が望ましいであろう。ミドルステージでの投資後も後続のラウンドで追加出資を行わないと持分が希薄化し、取締役派遣ができなくなることや、買収時に巨額の資金が必要となることで、担当者が出資する・取締役として学んでくることが目的にすり替わりやすい危険性に対応するためにも、繰り返しになるがトップの継続的なコミットメントが必要である。

5. 飛び地投資

飛び地でなければ新規事業とは言えないという意見もあり、飛び地投資に対する需要は高いが、出資した後にどのように自社の新規事業として取り組むかをイメージできているだろうか。技術なり、製造力なり、販売チャネルなり、顧客ベースなり、これまで培った自社の事業基盤を何らかの形で生かせる分野でないと出資しても単なる資金の出し手となってしまう。その後、新たに事業を立ち上げるにしても、出資比率を上げて子会社化・関連会社化するにしても、社内での合意形成が難く、投資した結果だけが残りやすい構造にある投資である。また、新規事業と考えたとしても、直近年度で純利益1,000億円を超える国内の上場企業は78社*14存在するが、規模感のある新規事業として現状の10分の1、年間100億円の純利益貢献を期待するようなケースを想定している場合、この規模の利益貢献を短中期で期待することは困難と言わざるを得ない。例えばAmazonやGoogle、Alibaba、Netflixなどの企業に創業翌年に幸運にも投資ができ、その後順調に成長し、子会社化もしくは複数社を持分法適用会社化するという非現実的な仮定を置いたとしても、純利益100億円を達成するには10年程度の時間を要している。スタートアップ側単体で100億円の純利益貢献を短中期で試みている場合は、困難なユニコーン企業への出資よりもはるかに実現性が低いため、期待する規模感を小さくするか時間軸を長期とする前提としなければ、数年後、目新しいテクノロジーやビジネスモデルを有するアーリーステージのスタートアップへの投資が積み上がり、事業に繋がらず、スタートアップ投資は効果がないという結論に陥る可能性が高い。数年後に自社の中核事業が広がることでシナジーが生じる可能性もあるため、完全に否定される投資ではないものの、主軸と据えるべきではないだろう。これら各目的と一貫した投資プロセスの基本形を横並びで比較できるよう整理(図表2参照)し、案件数が増加しているアーリーステージにおける有意義な投資とはどのようなものかも整理(図表3参照)しているため、各社としての方針検討の参考にして頂きたい。

結び~中核事業の戦略は構築できているか

事業シナジーの実現と現実のギャップに悩んでいる企業は、目的を明確にして中長期目線で投資プロセスと一貫性を持たせることで、スタートアップ投資で陥りやすい課題は解消されるであろう。また、スタートアップやVCとしても目的が明確化されており、どの領域のどれくらいのステージに出資するのかが明らかになっていると、協業検討や紹介、共同投資がしやすく、結果にも繋がりやすい。

一方で、事業シナジーを期待通り実現できたとしても、スタートアップ投資は企業成長の手段の1つに過ぎず、イノベーションの実現に向け企業が抱える本質的な課題の解消に至るには視野を広げた検討が必要となる(図表4参照)。

特に近年注目を浴びているデジタル領域での成長が各社の戦略の大きなテーマとなっているが、既存の中核事業の圧倒的な競争優位性を活用して、有望企業にシナジー創出を見込み、高いバリュエーションでM&Aを行うことによる中核事業の強化・加速度的な成長を実現する流れが起きている。GoogleのAndroid、FacebookのInstagramなど、10年以内の期間で買収時から100倍以上の企業価値に成長させている事例もある。

このようなデジタル領域のM&Aもスタートアップ投資も、圧倒的に強力な既存の中核事業を有して初めて有効となる手段である。すなわち、自社の競争の源泉を認識した上で、どのように環境変化に対応し成長するのかという戦略がない限りは、スタートアップ投資の効果は限られたものになる。特に既存の中核事業が弱く、事業環境変化への対応が困難だと想定される場合は、事業売却も含めM&Aを活用し、自社の事業領域を拡大・転換させないと、スタートアップに投資を行ったとしても目的を達成することはできない。他社やスタートアップにディスラプトされることを座して待つ戦略オプションを意図せずとも選択し続けることのないよう、中核事業を含めた全社の戦略として、どのようにスタートアップ投資を活用してイノベーションを実現するかという、より大きな枠組みでも検討を行い、持続的な成長実現を目指していくことが望まれる。


*1:ユニークなテクノロジーや製品・サービス、ビジネスモデルをもち、事業成長に取り組んでいる未上場企業に対する、出資先のキャッシュの増加を伴う株式資本増加。主にスタートアップ投資は、1)企業からの直接投資、2)CVCによる出資に分類できる。1)と2)の両方を包含する内容であれば「スタートアップ投資」と記述し、どちらかを明確に特定する必要がある場合は特定した記述としている。

*2:「企業はコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)に何を期待するべきか‐CVC実態調査2019」

*3:ヤフー株式会社, プレスリリース「dely株式会社への資本参加および戦略的パートナーシップの構築について」(2018年7月11日)

*4:2020年6末時点でX社のWebサイトに掲載されているポートフォリオ企業よりPwC Strategy&集計

*5:CVC活動開始から2020年6月末までのM&AをX社のプレスリリースよりPwC Strategy&集計

*6:PitchBook, 2019. "PitchBook Analyst Note: The Golden Mean of Corporate Venture Capital" May 14,2019

*7:ResearchGate, 2006. "Corporate venture capital and the returns to acquiring entrepreneurial firms"

*8:Salesforce.com Webサイト参照

*9:SalesforceにおいてM&Aは新規事業だけではなく、既存エコシステム拡大の(見積・請求アプリのSteelBrickなど)や既存の中核事業を強化の(AIテクノロジーのMetaMindなど)も対象としている(Crunchbase)

*10:Reuters, 2019. "Salesforce bets on big data with $15.3 billion Tableau buy".

*11:Y社はその他にもモビリティや自動運転分野におけるディスラプター投資も行っている

*12:ソフトバンクはアリババの投資により2000年から2017年でIRR65%、900億ドル以上の投資リターンを得ている(ソフトバンク2017年決算説明資料参照)

*13:2020年7月のバリュエーションは180億ドル(CB insights)に対してホテル最大手のMarriott Internationalの時価総額は300億ドル(NASDAQ)

*14:2020年6月末時点 SPEEDAよりPwC Strategy&集計


執筆者

川上 昂士

PwCコンサルティング、 Strategy&のシニアマネージャー。
経営戦略、事業戦略、デジタル戦略、アライアンス/M&Aを中心に豊富なコンサルティング経験を有す。特にM&Aにおいて国内外のPwCの様々な領域におけるプロフェッショナルとの協働による価値実現を積極的に推進しており、スタートアップ投資を活用したクライアントの成長も支援。


Strategy& Foresight

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