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巻頭言 スタートアップ投資で実現する変革と成長

2019年の日本でのスタートアップ関連投資件数は1,406件、投資総額は4,462億円であり、これは2013年の1,223件、845億円に比べて、それぞれ13%、81%と大きな伸びを示している*1。また大型投資も増えており、例えば2020年、総合商社によるオンライン後払い決済サービス運営会社への出資や、2019年には総合不動産会社による住宅・店舗・オフィスのリノベーションを手掛ける企業への出資などがあった。一方、米国での2019年のスタートアップ関連投資件数は6,183件、投資総額は約12兆円で、日本のスタートアップ関連市場は依然遠く及ばない*2

コンサルタントとしてクライアント企業と接する中でも、近年スタートアップ投資に関連する問い合わせが増えてきている。その動機としては、自社事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化と新規事業機会の創出が多くを占める。DX化については不可逆的な流れとして各社が対応を進めているが、技術投資を行う会社、デジタル人材の雇用を進める会社など方法はまちまちである。その有効な選択肢の一つとして、スタートアップ企業の自社事業への取り込みが検討されている。

一方、スタートアップ投資への興味とともに、その難しさが懸念点として挙げられることも多い。この難しさについて整理してみると、以下のようなパターンがあり、投資検討の入り口から、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に関わる投資後のものまで、非常に幅広い課題があることがわかる。

  1. そもそもスタートアップ企業との接点がない
  2. 無数にあるスタートアップ企業の中から、どのようにターゲット会社を選べば良いのか分からない
  3. 出資の話が進んでいるが、そのスタートアップ企業が今後も成長するかどうか分からない
  4. 投資をしたいが、投資検討先が出資を受けることに後ろ向きであり説得できない
  5. 投資をした後にどのように自社事業にいかしていくべきか分からない

本特集号では、まずシリコンバレーで活動されているベンチャーキャピタリストの山本康正さんとの対談を通して、日本企業のスタートアップ投資についての全体像とその魅力、上記課題への対応例などについて捉える。また、これまでPwCがM&Aに関わるさまざまな支援を行い、蓄積してきたスタートアップ企業を活用した戦略の考え方、対象企業の評価方法(ビジネスデューデリジェンス[BDD]やバリュエーション)について、具体例を紹介しながら解説する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により企業のDX推進が急務となり、さらに重要性を高めていくスタートアップ投資について、本特集号が貴社の検討の一助となれば幸いである。


*1:Initial, 2020「. Japan Startup Finance 2019」(2020年3月27日時点での集計)

*2:CB Insights, 2020 “Venture Capital Funding Report Q2 2020”を用いた表現


執筆者

服部 真

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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Strategy& Foresight

ストラテジーアンド・フォーサイトは、PwCネットワークの戦略コンサルティングチームStrategy&が、経営戦略についてのさまざまな課題をテーマに、経営の基幹を担われている皆さまに向けて発行する定期刊行物です。日本企業の方に興味を持っていただけると思われる記事をリーダーシップチームのメンバーが執筆、また欧米で刊行している季刊ビジネス誌「strategy+business」およびグローバルで刊行している冊子や調査報告書の中から抄訳し、ご紹介させていただいております。

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