デジタル自動車レポート2020

ポストパンデミックの世界の針路 第3章 ソフトウェアに対応する自動車会社の構築

Strategy&では、世界の自動車産業の動向を詳細に分析する『デジタル自動車レポート』を毎年発行しております。第9回目となる今回は、米国、EU、アジアを中心とする世界の消費者調査、自動車メーカー、サプライヤーの主要幹部、著名な学者、業界アナリストへのインタビューを基に、2035年までの定量的な市場予測を行っています。

『デジタル自動車レポート2020』は、以下の3章で構成されています。

第1章 ポストパンデミックの市場ダイナミクスを予測する(PDF3.3MB)
第2章 ビジネスモデルおよび投資の再考(PDF3.4MB)
第3章 ソフトウェア対応の自動車会社を構築する(PDF4.5MB)

第3章の構成

  • ソフトウェア開発コスト予測
  • 内製・調達・パートナーとの協業戦略の決定
  • 組織および文化の変革領域

第3章の概要ー変革が続く市場において価値を捉え続けるためには、ソフトウェアに対応する自動車会社になることが必須である

  • ソフトウェアは現代の車両における差別化要素となっており、ソフトウェアの開発コストはほぼ倍増する ― 今後10年間で、1モデルシリーズ当たり平均で181百万ユーロから331百万ユーロに増加する見込み
  • 主なコストドライバーは自動運転機能であり、2030年までにソフトウェア開発コスト全体の45%を占める
  • ソフトウェアのコンポーネントと機能の範囲拡大により、全ての分野でイノベーションのリーダーになることは不可能になる。自動車メーカーおよびサプライヤーは、自社が価値を創造する分野を慎重に選定する必要がある
  • 競合他社、サプライヤーおよびテクノロジー企業と対等なパートナーシップを結ぶことにより複雑性と人材の必要性を克服し、プロジェクト当たり35~60%の費用削減を達成できる可能性がある
  • 新たなパラダイムに適応し、優位性の高いソフトウェア対応製品を構築するには、企業全体で戦略から意思決定までのマインドセットの変革を行う必要がある

第2章の概要―CASEの事業機会を的確に補捉するには、企業のコアケイパビリティに沿って焦点を定め直した投資戦略が必要

  • 欧州、米国、中国の60名を超える業界専門家を対象とした調査によると、CASEの各ユースケースへの期待値・予想される潜在市場規模は様々である
    • コネクテッド: 過度な期待のピーク期を過ぎ、最も有望なユースケースと期待されているのはB2Bアプリケーション 
    • 電動化: BEVがユースケースとして安定期に入りかけている一方で、燃料電池は未だ期待のピーク期に達していない
    • 自動運転: プライベートの乗客輸送よりもレベル4の貨物輸送の方が、より有望なユースケースと期待されている
    • スマートモビリティ: ライドヘイリングと並び、超小型モビリティが最も大きな潜在市場規模を期待されている。エアタクシーの有望度に関する見解は一致をみていない
  • 資金の潤沢な数多くのスタートアップ企業がこの潜在市場に攻勢をかけており、コネクテッド、電動化、自動運転の分野で従来型の自動車会社への圧力となっている。
  • 自動車メーカーやサプライヤーにとって、特定の車両中心型ビジネスモデルが最も有望であるが、競争は激化する
  • スマートモビリティを見ると、従来型の自動車販売 / リースと代替的所有(サブスクリプション、レンタル、シェアリング、ライドヘイリング、オンデマンド)との境界線は、ますます曖昧になる。走行距離1キロ当たりのコストは、従来型の自動車所有0.6ドル(自家用車)に対し、代替的所有では0.7ドル(サブスクリプション)から2.1ドル(ライドヘイリング)の間と想定される
  • 代替的な自動車所有モデルの市場は、EUが牽引する形で2035年までにEU/米国/中国の合計で2,550億ドルから1兆840億ドルに成長する見通しである。
  •  中国では3,620億ドルを見込むのに対し、 EUではモビリティサービスに対する消費者価格・走行距離1キロ当たり単価が高いことから5,490億ドルを見込む
  • パンデミックにより自動車メーカー、VC、テックプレーヤー間の投資格差が拡大している。自動車メーカー上位10社の2020年第1および第2四半期におけるCASE投資は前年比で47件から16件に減少した一方、VCによる投資は36件から66件に増加し、テックプレーヤー上位10社は横ばい(12件から11件)であった

第1章の概要― 規制の変更、期待の変化、そしてスマートモビリティ

  • テクノロジーへの期待とポストパンデミックの顧客の選好の変化に伴い、CASEは進化している。消費者は、2030年代初頭までに完全な自動運転車が実現することを期待していない。シェアードモビリティの成長は減速
  • 自動車総保有台数は、 ①モビリティの成長(中国が最も高い)、②シェアリングに対する顧客の選好(米国が最も低い)、③車両処分率を理由として2035年までに欧州で減少する一方で、米国および中国では増加すると予想される
  • EUおよび米国では、規制要件が基本的なコネクティビティを推進している(2020年の新車市場占有率は85%超)が、中国では44%に留まっている
  • コネクテッド車両の総保有台数が50%を超えるのは、欧州では2025年まで、米国では早くて2023年まで、中国では遅くとも2029年までとなる見込みである
  • EUおよび中国は、 e-モビリティの変革をリードしており、新車に占めるBEVの割合は2025年までに17%および19%となる見込みである。米国では、政府のインセンティブが少ないこととなどから、2025年までに5%と大幅に低くなる
  • 個々のモビリティパターンの変化に伴い、プライベート対シェアード、アクティブ対パッシブ(それぞれ、異なる自動化レベルで複数のユースケースを伴う)という新たな区分けが必要となる

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PDFファイル内の執筆者の所属・肩書は、レポート執筆時のものです。

日本語版はこちら[PDF 4,505KB]

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赤路 陽太

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