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ヘルスケアのあり方は、従来の病院やクリニックでの治療や疾患管理から、個人に対し生涯にわたる健康維持・管理のツールを提供する形へと、劇的に変わろうとしています。
具体的には医療従事者による診療と日常生活におけるケアとの境界線はなくなり、個別化、予防、積極的な治療やケアへの参加といった生活者中心のモデルが誕生しつつあります。こうした変化に伴い、医療(Medical)と技術(Technology)を組み合わせた造語「MedTech」の新たなカテゴリーとして「WellTech」は誕生しました。
WellTechは、治療のみでなく健康維持のためにも利用される新世代のテクノロジーのことで、記録、診断、個別化、治療、見守りの5領域に分類されます。ヘルスデータ、エコシステム、AIを活用するWellTechのソリューションは、個人による健康の維持管理を可能にするのみでなく、ヘルスケア業界やステークホルダーに、継続的かつ実データに基づくインサイトを提供します。睡眠、ストレス、活動をモニタリングするウェアラブルデバイス、AIによってパーソナライズされたレコメンドを得られるプラットフォームなどを通じて、健康管理は日常的な体験へと変わります。
本レポートでは、生活者向けのテクノロジー、MedTech、データエコシステムの融合がヘルスケアの未来をどのように再構築するのかを探ります。アクセスが容易で、エビデンスに基づく信頼できる健康ソリューションへの需要が高まりを見せていることは、米国、英国、ドイツの生活者1,500人から得られたインサイトと業界リーダーへのインタビューからも明らかです。
医療は、デジタル化、先進的なバーチャルケアモデル、そしてより予防的かつ個別化されたケアへの需要の高まりによって変化を遂げています。こうした動きは、次のような、さまざまな要因の影響を受けてWellTech市場の拡大を促進しています。
医療機関以外での継続的なモニタリングと早期発見を可能にするウェアラブルデバイス、センサー、AI、コネクテッドデバイスの進化
積極的な健康管理と健康状態の維持を生活者に促す、ウェルネスや健康長寿を重視する世界的な風潮
パーソナルデータやパーソナライズされた提案に基づいた、健康維持のための生活者による積極的な関与
遠隔医療やデジタルサービス、いつでもどこでもサポート可能なモニタリングなどにより、日常生活に入り込んでいくヘルスケアサービス
早期介入とウェルネスにフォーカスしたケアに対し、インセンティブを設けて予防効果を高めることを、医療システムや保険者が評価するモデルへのシフト
これらのトレンドを背景に、既にWellTech市場に参入している企業も、参入しようとしている企業も、スタンドアロンのデバイスの販売から、継続的な予防ケアをサポートする統合型・データドリブンのソリューションの提供に移行することが求められます。生活者を中心に据えたソリューションの設計、互換性のあるデータエコシステムの構築、そしてヘルスケアやテクノロジーおよびその周辺領域を横断したパートナーシップを築くことが成功の鍵を握ります。
WellTechの出現は、広範囲にわたる業界の発展という文脈の中で捉えるべきです。「エコシステムが導くヘルスケアの未来」に関する最近の調査では、ヘルスケアは、ライフケアのエコシステムへと進化しており、予防、早期発見、継続的な健康維持と、従来の治療やアフターケアが一体化していることが明らかになっています。
この、新しいエコシステムにおける「WellCare」は、生涯にわたり積極的に健康を管理することを表しています。それはテクノロジーの進化と生活者の期待、産業界の連携などによって進んでいくと考えられます。
変化に呼応する形で、ステークホルダーはビジネスモデルを変え、業界横断でパートナーシップを構築することが求められます。こうしたトレンドは、医療機器メーカーなどのMedTech企業にとどまらず、エコシステム全体のステークホルダーがより広範な変化に、いかに貢献し得るかという点にも影響を与えます。デバイス、生活者、そしてヘルスケアシステム間の連携は、1人ひとりの生活者をサポートするだけでなく、ヘルスケアシステム全体の進化をもたらします。
ウェルケアエコシステムが主要なステークホルダーに与える影響
出所:Strategy & analysis
現在、予防やWellTechソリューションの利用に際しては、その大部分の費用を生活者が自己負担しています。しかし市場が拡大するにつれ、保険者には、従来の償還モデルを見直し、予防に関するテクノロジーを集約してリアルタイムでデータを活用することで、長期的な成果を高めることが求められるようになります。こうした変化を促すには、WellTechが生活者個人や公衆衛生に永続的に好影響をもたらすという、臨床における確固たる研究結果とRWDに裏付けられた明確なエビデンスが必要です。また治療のみでなく予防を奨励するインセンティブを創出することも重要になります。
こうした進化により、WellTechは、主に患者の自己負担で賄う必要がある現状から、医療エコシステム内で償還される仕組みへと変貌を遂げる可能性があります。
WellTechは、パーソナルウェルネスデバイスやデジタルヘルスアプリなど、さまざまな分野で大きな収益の可能性を秘めています。PwCはWellTech市場の将来的な可能性を評価しており、米国、EU、英国における市場の潜在能力は1年間で最大8,500億米ドルに達すると推定しています。
世界におけるWellTech市場の可能性
出所:Strategy & analysis
WellTechが提供する膨大なヘルスデータは、生活者への直接的なメリットのみならず、臨床研究の進化、疾患疫学に関するインサイトの獲得、より費用対効果の高い医療サービスの提供にも役立ちます。
WellCare市場の潜在能力を最大限に引き出すには、基本的なバイオメトリクスのトラッキングにとどまることなく、実用的なインサイト、行動のきっかけを提示するナッジ、そして継続的なサポートを提案するソリューションを提供することが望まれます。生活者が自らの手で健康管理を行うようになるにつれ、生活者自身で能動的に取り組むといったエンゲージメントの向上、シームレスなユーザーエクスペリエンスが、他社との重要な差別化要因となります。
今がチャンスの時であることに変わりありませんが、WellTechは、重要な課題と倫理的なハードルにも直面しています。それは、データセキュリティの確保とプライバシー保護の問題です。生活者の37%がデータの保護について、また32%が自身の情報がどのように利用されるかに関して不安を抱いており、依然として大きな懸念事項といえます。
既存のMedTech企業にとり、疾患の治療から健康管理「WellCare」への移行は、課題であると同時にチャンスでもあります。他社に比べ優位に立つには、果敢に行動し、イノベーション、パートナーシップ、生活者エンゲージメントなどへのアプローチ方法を見直し、新たな利用者層に向けたWellTechを活用したサービスを構築することが求められます。
PwCは、エグゼクティブへのインタビュー、生活者調査、市場分析などから得たインサイトを基に、WellTechが台頭しつつある時代において、ステークホルダーである企業が成功をおさめるために考慮すべき戦略的重要事項として、次の6項目を特定しました。
ヘルスケアからWellCareへの移行は、現在まさに起きている事象であり、行動を起こす準備ができている企業に、計り知れない可能性をもたらします。この変化をいち早くとらえ、大胆なイノベーションを進め、幅広くパートナーシップを形成し、生活者を中心にすえることに断固たる姿勢で臨んだ企業が、急成長が予想されるこの市場をリードすることになると考えられます。一方、生活者、保険者、周囲の企業が積極的に健康管理に取り組む中で、様子見をしている企業は取り残されるリスクを負うことになるでしょう。
日本におけるヘルスデータは、医療機関が管理するEHR(Electronic Health Record)と、生活者自身が管理するPHR(Personal Health Record)に大別されます。EHRは電子カルテなど医療機関内で収集・管理され、医療機関間連携を目的としています。一方PHRは、健診結果、服薬履歴、歩数などのウェアラブルデバイスから得られるデータなど、生活者が主体的に管理・活用できるデータのことです。2020年の「データヘルス改革に関する閣議決定」を契機に、PHRとEHRは制度上区分されました。
日本国内においても、マイナポータルの整備や民間PHR事業者向けガイドラインの策定などにより、生活者が自身の健康データを閲覧・管理する環境は整いつつあります。
ただ本来であればEHRとPHRが融合し一元的に利活用されることで、より効果的な予防、早期介入、個別化医療が実現されるものと考えられます。しかし電子カルテの標準化などが依然として課題であり、両者の本格的な統合には時間を要すると思われます。
こうした制約があるものの、日本が直面する高齢化、独居高齢者の増加、医療従事者不足といった社会課題に対して、日常生活から負担なく取得されるPHRを活用したWellTechソリューションの利活用は少なからぬ役割を果たすことが期待できます。医療データとの統合に時間を要するのであれば、見守り、健康維持、重症化前の早期介入といった領域においては民間企業による業界横断の連携を通じた新たな価値創出を期待したいところです。
※本コンテンツは、『From MedTech to WellTech』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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