第3回eReadiness調査2022年 報告書

――消費者のニーズ分析と自動車メーカーへの行動提言

自動車メーカーは、世界的なパンデミックや燃料価格の高騰といった課題に直面しながらも、自動車の電動化に対する投資を続けてきました。こうした中で投資収益率(ROI)を最大化するには、EV市場に対するアプローチを見直す必要があります。

第3回eReadiness調査では、市場の視点を把握するとともに、自動車メーカーが最適な選択肢を見極めて、短期間で事業効果を確保するための一助となる情報を提供します。また、今回の消費者サンプル調査の回答者を以下3つのクラスター(EV所有者、EV見込み客、EV懐疑派)に分類して分析しました。

  • EV所有者の割合は前年に続いて上昇し、調査対象者の6%に達しました(2021年は4%)。都市中心部に住み、自家用駐車スペースを持つ高所得の中年男性というのが、このクラスターの主たる特徴です。
  • 調査対象者の55%が、今後2年以内にEVを購入する意向を示しています。EV見込み客の6つのペルソナのうち、3つが非常に高いEV購入意向を示しており、EV見込み客の40%を占めます。
  • 調査対象者の31%はEV懐疑派です。圧倒的に女性が多く、見込み客と比べると可処分所得は低い他、年齢は約10歳高くなっています。

販売について、ネットでのEV購入割合は現時点では10%となっていますが、EV所有者の55%は利便性と価格の透明性の高さから、次の車はネットで購入するとしています。

充電インフラには需要があり、EV所有者の57%がEVと充電ソリューションを一括で購入しています。また14%がEV購入後に家庭用の充電装置を別途購入しました。

1 EV所有者

現在EVを所有している人々
2020
%
2021
%
2022
%

2 EV見込み客

今後5年以内にEVを購入する意向を明言している人々
2020
%
2021
%
2022
%

3 EV懐疑派

今後5年以内にEVを購入する意向はないと明言している人々
2020
%
2021
%
2022
%
eReadiness指数

eReadiness Index

eReadiness指数は、eモビリティの相対的な成熟度を示す指標で、主要4側面に分類される14のKPIに基づいて算出されます。

eReadiness Index 2022

今回の調査結果によると、ノルウェーはeモビリティに対して最も備えができている国であり、全側面で傑出しています。ドイツは全体としては中程度で、政府の優遇措置が比較的手厚く、EVに対する需要も高まっています。スペインとイタリアは、インフラ不足が主な原因で最低スコアになりました。フランスは平均的水準のEVインフラを備えており、優遇措置が強化されればEVの普及拡大につながる可能性があります。英国における消費者需要は、EVインフラに支えられて良い水準にありますが、消費者がEVを購入する際の優遇措置は限定的です。スイスは充実したEVインフラに支えられて需要が高く、eReadiness指数では第2位となっています。

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本調査について

本調査は、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スイス、英国の欧州7市場を対象とした消費者サンプル調査という形式を採用しています。また、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド自動車(PHEV)という2種類の電気自動車に重点を置いていますが、読みやすさを考慮し、これら2つを「EV」と総称しています。

  • ウェブベースのツールを使用し、対象7市場の4,600人を超える消費者から回答を収集
  • 調査サンプル:対象7市場で自動車の運転者を対象に代表的なサンプルを抽出
  • eReadiness指数:調査対象国のEV市場の成熟度を、政府の優遇措置、インフラ、供給、需要という主要4側面に基づいて算出した総合指数

※本コンテンツは、eReadiness Study 2022を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

お問い合わせ先

北川 友彦

北川 友彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

嶋根 瑞樹

嶋根 瑞樹

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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