消費者のニーズ分析とeモビリティの今後の見通し

第6回eReadiness調査 2025年報告書(ASEAN版)

  • 2026-04-30

ASEAN主要6カ国で電動化の勢いが加速――自動車メーカーと政策立案者は、手頃な価格と充電インフラの充実を求める消費者ニーズの変化に対応できるか?

2025年第3四半期累計で、ASEAN主要6カ国の自動車(乗用車・小型商用車)販売台数は、インドネシア、マレーシア、タイの市場減速を受けて、前年同期比で1.5%の微減となりました。一方、xEV(電動車)の販売台数はASEAN主要6カ国全体で62%増加し、平均普及率は17%に達しました。これは、同地域全体で電動化への着実なシフトが進んでいることを示しています。

本レポートは、28カ国・18,000人以上を対象に実施したグローバルeReadiness調査に基づいています。同調査は、モビリティニーズとEV(電気自動車)への準備状況を把握することを目的としています。本稿では、第6回調査から得られたASEAN主要6カ国(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、シンガポール)の知見を紹介します。 

自動車販売台数は全体として安定化の兆しを見せており、2025年第3四半期時点では前年同期比1.5%減にとどまりました。その一方で、xEVは大幅な成長を遂げ、ほとんどの市場でICE(内燃エンジン車)は減速傾向にあります。この構造的な変化は、中国系メーカーや地場のEV新興メーカーが台頭し、従来優位を保ってきた日系、韓国系、欧州系メーカーに挑んでいることが背景にあります。

ASEAN主要6カ国におけるEV保有はまだ限定的で、EVを保有していると回答した人の割合は約11%にとどまりました。しかし、見通しは明るく、約76%が5年以内にEVを購入する意向を示しており、市場全体に楽観的な姿勢が広がっています。低所得層や郊外居住者の間には依然として懐疑的な見方も残りますが、車両価格の低下とインフラ整備が進むことで、こうした懸念は徐々に緩和され、普及が加速すると期待されています。

ASEAN主要6カ国は、グローバルなeReadiness指数において「中位」に位置していますが、域内には顕著な差があります。シンガポールは地域をリードし、ノルウェーに次ぐ世界第2位にランクインする一方、フィリピンは後れを取っています。旺盛なEV需要と政策支援が進展を後押ししていますが、ASEAN主要6カ国の大半の市場において、インフラ整備と車両供給が依然として重要な改善課題となっています。

日本への示唆

本調査結果を踏まえ、日系自動車メーカーが今後ASEAN市場で競争力を維持・強化していく上では、以下の3点が重要と考えられます。

1. これまで以上に多極化するASEAN各国の政策・方針への適応

今回の調査で示されているとおり、ASEAN主要6カ国の市場は、消費者志向やEV化に向けた政策的後押しの面でも多極化が進んでいます。日系自動車メーカーのシェアが急減する中、中国系メーカーや現地EV新興メーカーからの浸食に歯止めをかけるには、これまで以上に各国固有のニーズや課題を汲み取った取り組みが求められます。

2. EVは産業構造変化の序章――SDV・AI領域での競争にも備える必要性

ASEAN主要6カ国のEV購入者を見ると、EVに満足せずICEへの回帰を希望する消費者も一定数存在しています。例えば、EV保有者のうちICEへの乗り換えを希望しないと回答した割合は、タイでは40%にとどまり、他国と比較しても低い水準です。

しかしながら、この数字をもって従来のビジネスモデルを維持すればよいと捉えると、判断を誤る可能性があります。各国がEV化を推進してきた背景には、自国産業の振興と競争力向上を図りたいという意図があります。今後は、各国においてSDV(Software Defined Vehicle)やAIといった次なるテーマが打ち出されていくことも想定されます。

3. 産業立国の精神に立ち返り、異業種協業を通じたASEAN市場に「再挑戦」 

長期的に市場シェアを維持していく上では、単なるものづくりに閉じることなく、幅広いプレイヤーを巻き込み、各国における産業の成長に貢献するという原点に立ち返ることが必要です。異業種との協業なども積極的に活用しながら、ASEAN市場に改めて挑戦していく姿勢が求められます。

※本コンテンツは、『ASEAN-6 eReadiness 2025』を翻訳したものにStrategy& Japan独自の内容を追加したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

第6回eReadiness調査 2025年報告書(ASEAN版)

執筆者

北川 友彦

パートナー​, PwCコンサルティング合同会社

メールアドレス

阿部 健太郎

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

メールアドレス

嶋根 瑞樹

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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桑原 永尚

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

メールアドレス

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