半導体産業におけるIoT時代の成長戦略

2017-09-14

変革が進む業界

メインフレームからミニコン、PC、そして、スマートフォンへと、コンピューティングデバイスは小型化、高速化、低価格化の道を走り続けている。こうした一つ一つの移行を支えているのが、半導体技術の進歩と、今も継続するムーアの法則の影響である。いずれの過渡期の段階でも、新しい企業が台頭し、隆盛を極めるものの、やがて次の世代への移行を推進するような技術を他の企業が開発し、市場シェアや収益で既存企業との競争に打ち勝つということを、何度も目の当たりにしてきた。

そして今、半導体産業におけるIoT時代が到来し、再び半導体産業に変革を起こそうとしている。しかしながら、今回はこれまでとは違う。たった一種類のデバイスに依存するというより、IoT指向のチップ市場は非常に多様化しているのである。コンピューティングやセンサー、コミュニケーション、インタラクティビティ等、クラウドインテグレーションとクラウドコネクティビティの多種多様な側面で半導体は必要とされている。IoTがもたらす影響の予測には幅があるが、非常に大きなものになることだけは確かなようである。コネクテッドデバイスのインストールベースは、2020年までに2倍から5倍にもなると予想されている。

IoTの出現により、半導体のイノベーションを主導しているのは、もはや各チップ上のトランジスタ数の急増とそれに付随する処理速度の上昇と、コストの低減を予測したムーアの法則ではない。IoTを動かすために必要なチップの価値をスピードだけで測ることはできない。電力消費量や小型化、ソフトウエア、コンフィギュラビリティ、耐久性といった他のファクターの方が重要なのである。というのも、IoTでは、自動車や製造、公共公益設備等、多種多様な業界で、使用目的を非常に限定したさまざまな使用方法が可能になるようチップが搭載されているからである。このように各種のユニークなアプリケーションがあることから、半導体業界では、大小を問わず、企業の増殖が起こっている。そのほとんどが「ファブレスな(工場を持たない)」企業であり、これまで以上に特殊な目的に合わせたチップの設計競争に参入している。そして、このような状況が、業界における競争のダイナミクスを完全に変えてしまったのである。

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PDFファイル内の執筆者の所属・肩書きは、レポート執筆時のものです。

"Semiconductor industry : Strategies for growth in the Internet of Things era", April, 2017。

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