マーケターのジレンマ: マーケターとパートナーが必要とする新たなケイパビリティ

2017-01-30

エグゼクティブサマリー

メディアやマーケティングを取り巻くエコシステムは、デジタルの発達によってその形を変えつつある。そこでは、テクノロジーと体験とコンテンツが融合し、従来の広告に急速に取って代わろうとしている。このような展開は、5,000万ドル以上の広告予算を自由に使えるようなトップマーケターに次のような大きなジレンマを与えている。

「選択肢や情報量が急増する中、マーケターがターゲットユーザーに最も効率よく効果的に関わるために、時間と資源をどこに集中投下するべきか」

この問題に対し、多くのマーケターが積極的に答えを出そうとしている。彼らは、メディア消費の変化に追いつくためには、今までと違ったスキルや働き方が必要だということを知っている。また、ユーザーを引きつけるために必要なコンテンツや配信方法をデザインするためには新しいパートナーシップが必要だということも分かっている。こうした中、マーケターの中でもメディア企業(発行者)とマーケティングサービス・プロバイダー(代理店)は、今後も現在のポジションを維持したいのであれば、大幅な進化を遂げる必要があるだろう。ソーシャルメディアやモバイルが大きく成長する中、メディア企業は新しい広告製品を生み出し、コンテンツ配信戦略を見直す必要がある。また、データを使ってオーディエンスを分析・理解し、顧客により大きな価値を提供できるようにしなければならない。一方、マーケティングサービスを行う企業は、もっとコンテンツや知的財産開発に軸足を移し、サービス提供者から戦略的ビジネスアドバイザーへと進化し、多くの顧客のマーケティングやメディアミックス全体にわたって、マーケターが実験段階から規模を伴った実地への移行を加速できるようにしなければならない。

結論

マーケターや、マーケターに製品やサービスを提供する会社にとって、この「マーケターのジレンマ」を解決するのはたやすいことではない。イノベーションはマーケターに、より深い洞察や関係深化や接続性を提供してくれるが、同じように、オーディエンス構築のために策定された戦略や、それを収益化するためのビジネスモデルを破壊している。またこの力は、マーケター、代理店、メディア企業の境界や、バリューチェーンにおける役割の区別を曖昧にしている。そのため、マーティング企業のジレヱマを解決することは、マーケターとユーザーの関係のあり方や、マーケターによる代理店、メディア企業、テクノロジーパートナーの選び方を、大幅に見直させることになる。

ユーザーとの「フロー」―すなわち、全てのブランドがユーザーとの1回のやりとりで購入に至る可能性のある箇所―を勝ち取るためには、新しい戦略と、新しい実行手段の両方が必要である。成功のための正確な方程式は業界や企業によって異なるが、正しい方向性は日々明らかになってきている。今後、多くのマーケターは、社内により多くのケイパビリティを蓄積し、自社のブランドに、最も効果的で最も容易に実施できるソリューションを与えてくれるプロバイダー(メディア企業、代理店、テクノロジー企業、コンサルタントのいずれか)への支出を優先するようになる。ユーザーに必要なクリエイティブな体験や、ビジネスモデルに突破口をもたらし混乱を断ち切ってくれるイノベーターと、特別なパートナー関係を求めるようになるだろう。

端的に言うと、この勝者はマーケターのジレンマを喜んで受け入れるのである。それは、マーケティングのケイパビリティを再考する理由となったからだけではない。そのジレンマを、自社の事業全体を強化し、競合他社より優位に立ち、ユーザーや顧客やパートナーに対して目的を明確にする戦略的チャンスと捉えているからである。ここで、「幸運は勇者に味方する」という有名なラテン語のことわざが真実味を帯びてくる。ためらう者もあれば、少しずつ変えようとする者も多い。また従来の手段に固執する者もいる。だがそれとは対照的に、勝者は新しいモデルや手段を喜んで受け入れ、それを素早く実施できることを実証し、そうすることで自らも学び、目的を達成するのである。

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PDFファイル内の執筆者の所属・肩書きは、レポート執筆時のものです。

"The marketer's dilemma: The new capability agenda for marketers and their partners”, September 6, 2016。

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