
Strategy& ESGがもたらす競争優位性 製造業関連企業のバリューチェーン変革を通したサステナビリティ推進
欧州の大手製造業関連企業の温室効果ガス削減施策を調査し、それらがバリューチェーンのどの領域に対応しているかを分析しました。バリューチェーンの変革を通したESG実現は競争優位性の獲得につながることが明らかになっています。
かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛され、世界の時価総額ランキングにいくつもの企業が名を連ねていた日本。バブル崩壊後は一転して成長が見られず、失われた時代と呼ばれる状況が続いています。その間に少子高齢化は加速し、デジタル対応の後れといった課題も積みあがりました。
2020年から世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に覆われ、一時は停滞を迎えたように見られました。しかし、コロナ禍とは別の軸でESG(環境・社会・企業統治)への対応、ゼロエミッションの推進、地政学リスクの高まり、デジタル技術の驚異的な発展といった多くの事象が生じ、経済や企業を取り巻く環境は目まぐるしくかつ複雑に変化しています。
そして、世界はアフターコロナと呼ばれる新しい時代に入りつつあります。様変わりした状況で、日本や日本企業は長らく遠ざかっていた成長に向けて何に取り組み、どこへ向かえばよいのでしょうか。それを明らかにするためにも、今こそ現在地を把握し、複雑な変化を読み解き、進むべき方向性を考える必要があります。
本号では、まず総論で日本経済や日本企業の置かれた状況を概観し、この先取り組んでいくべき提言をまとめました。そのうえで、コロナ禍やテクノロジーの変動、ESGの潮流などに大きな影響を受け、これから一層の変革が必要となる観光・宿泊、自動車、製薬の3業界の現状と先行き、今後の対応策を提案しています。これらの内容は、3業界以外でもヒントにつながると考えています。
《目次》
巻頭言
日本再生への歩みをはじめるために
唐木 明子
地位低下が進む日本、「成功」への5提言
―日本企業の展望を探る―
唐木 明子
息を吹き返す観光・宿泊業界 持続のカギ握る進化と未来への対応
―観光・宿泊業界の展望を探る―
加藤 瑞樹
※レポート内に掲載されている執筆者および監訳者の所属・肩書は、レポート執筆・監訳時のものです。
ストラテジーアンド・フォーサイトは、PwCネットワークの戦略コンサルティングチームStrategy&が、経営戦略についてのさまざまな課題をテーマに、経営の基幹を担われている皆さまに向けて発行する定期刊行物です。日本企業の方に向けた記事をリーダーシップチームのメンバー中心に執筆、また欧米で刊行しているデジタルマガジン「strategy+business」およびグローバルで刊行している冊子や調査報告書の中から抄訳し、ご紹介しています。
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