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ゼロエミッショントラック輸送を実現する

トラックスタディ2020 商用車の脱炭素化への道筋

商用車メーカー(OEM)や関連業界は、環境規制に準拠するためにトラックのポートフォリオ全体の電動化を迫られています。欧州では、OEM各社は2030年までに新車販売車両のCO2排出量を少なくとも30%削減することが、規制により義務付けられています。そのため全てのステークホルダーは、パワートレイン技術と必要となる燃料・充電インフラの決定に着手していかなければなりません。

また、ドイツの道路輸送におけるトラックのセグメント別の温室効果ガス排出量を詳しく見ると、大型トラック(以下、HDT)がCO2排出量の約66%を占めており、HDT車両の電動化は最も重要な課題であることが明らかとなっています。このようにCO2排出量に関する透明性を高めていくことは、持続可能な成長の前提条件にもなりつつあります。

トラックは世界のCO2排出量の大きな要因となっている。 ドイツの道路輸送によるCO2排出量のうち66%が大型トラックによるものである

エグゼクティブサマリー

トラックの電動化は、次の10年の必須課題。欧州では、2030年にトラックの30%以上がゼロエミッション化される見通し

  • ゼロエミッショントラックは、来るべき未来である
    トラックの電動化は避けて通れない。ただし、ゼロエミッションのLDT(小型トラック)はコスト競争力が向上しているが、長距離輸送用のHDTでは、総所有コスト(TCO)が高くなるリスクがある
  • 複数のテクノロジーが併存・競争する
    HDTの場合、ディーゼルトラックに簡単に取って代わるようなゼロエミッション技術はない。バッテリーや燃料電池を使用した電動車が有望に見える一方、架線式電動トラックはインフラ初期投資が大きいことから魅力が乏しい。合成燃料は補完的に混合燃料として使用される可能性がある
  • ゼロエミッショントラックは、コスト競争力を持ちうる
    OEM各社は、BEVトラックやFC(燃料電池)トラックの技術開発と量産化に重点を置く必要がある。ゼロエミッションのHDTが、従来型の化石燃料トラックに対してTCOで優位に立つには、廉価な燃料価格と長寿命バッテリーの実現がカギとなる
  • 2025年以降に急速に普及が始まる
    ゼロエミッションLDTは、2025年以降に大きな市場シェアを獲得し、ゼロエミッションHDTは2030年以降に広く普及すると予測される

パワートレイン技術

大型トラック脱炭素化のための主なパワートレイン技術は4つ。しかし、あらゆる点でディーゼル燃料を代替できる特効薬的技術は存在しない

  • 大型トラックを脱炭素化するための選択肢
    現在、大型トラックの脱炭素化に向け、4つの代替パワートレイン技術が検討されている。架線式ハイブリッドトラック(CAT)、水素駆動燃料電池トラック(FCT)、純粋なバッテリー式電気トラック(BET)、そして、合成燃料で駆動する内燃機関トラック(SYT)である
  • それぞれの技術の異なる利点
    これらの技術にはディーゼルと比較してそれぞれ異なる利点がある。BET技術およびCAT技術は、Well-to-Wheel効率が70%以上という基準を達成できていない。CAT技術とSYT技術は、比較的安価なパワートレイン技術であり、車両総コストを抑えられるのが利点である。FCT技術は、他の各技術に対して中間的な特徴を持つ
  • さまざまな欠点
    すべてのパワートレイン代替技術には、化石燃料パワートレインと比較して不利な点があることは否めない。たとえば、SYT技術は非効率な面があり、BET技術とFCT技術はコストが高い

総保有コスト

ゼロエミッションのトラックは、総保有コスト(TCO)の観点では、化石燃料トラックと同じ土俵で競争できる

  • ゼロエミッション化でTCOは高くなる見込み
    すべての大型トラック技術において、 2030年にはTCOが今日のICEよりも高くなる可能性がある。55 €/tCO2 の炭素税によりディーゼルトラックのTCOが10%上昇。その結果、他の代替パワートレインのコスト競争力が向上し、合成燃料が引き続き最も高い選択肢で、化石燃料ディーゼルと混合使用される可能性がある
  • ゼロエミッションの大型トラックもコスト競争可能
    競争力のあるTCOを実現するには、さまざまな手段をとる必要がある。バッテリー式電気トラック(BET)用バッテリーのサイクル寿命の延長など、低いパワートレインコストと長寿命の実現が、経済性の面で競争力を得るカギとなる。また、長距離走行においては低いエネルギー価格が重要である(例:水素駆動燃料電池トラック(FCT)のコスト競争力を上げるには、安価な水素が必要)
炭素税が代替パワートレインの相対的コスト競争力を強化する可能性がある。 電池の長寿命化と代替燃料単価の低下が、TCO低減に大きな影響を与える
  • 短距離用途での電動化は有望
    全ての車両セグメントにおいて、電動化は短距離ユーザーにとって特に魅力的である。短距離利用では必要なバッテリーが比較的小さいためである。中距離用途では、最初に小型トラック領域でゼロエミッショントラックのコスト競争性が出てくる見込み

PDFファイル内に掲載されている執筆者および監訳者の所属・肩書は、レポート執筆・監訳時のものです。

日本語版はこちら [PDF 8,242KB]

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北川 友彦

北川 友彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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