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「最高データ責任者」実態調査2022

―世界は「CDO(Chief Data Officer)」をどう見ているか?

Data is everywhere

CDO(Chief Data Officer: 最高データ責任者)に関する、PwCによる世界初の定量的グローバル調査により、企業のデータへの関心はますます高まっていることが分かりました。しかし、経営に携わる役員クラスのCDOを設置している企業は4分の1未満であり、特定の業界と地域に集中しているのが実情です。

過去10年間で、データは社会、経済、企業活動のあらゆる分野を変革し始めました。クラウドテクノロジーの急速な普及と、家庭、店舗、オフィス、サプライチェーンにおける個人用・仕事用のコネクテッドデバイスの急増により、企業が利用できるデータの規模は飛躍的に増大しています。

この変革から永続的な価値を獲得しようとする企業は、データとアルゴリズムを賢くかつ効率的に理解、処理、管理すると同時に、公の倫理とプライバシーの懸念に対処し、規制や基準を遵守する必要があります。しかし、ほとんどの企業はこの現実に適応することが予想よりも難しいと感じており、特に人工知能(AI)アプリケーションを導入する場合に顕著です。

このような背景から、過去5年間で、CDO(Chief Data Officer: 最高データ責任者)という新しい役員クラスの役割が注目され、その設置も増えています。データの運用上および商業上の可能性を最大化する上でCDOが果たすことができる役割について多くのことが書かれていますが、皮肉なことに、CDOが実際に導入されていることを示すデータはほとんどありません。

現状をより深く理解するために、世界最大の2,500社の上場企業におけるCDOの普及状況と役割について詳細な定量的調査を実施しました。 CDOは、CxOレベルまたはその一段階下の単一の人物として定義され、データに対する会社の戦略的アプローチの責任を負っています。この定義は、組織全体の戦略的資産としてのデータの可能性を最大化させるために、役員クラスのCDOを任命することが経営層にとって不可欠である、というPwCの信念を反映しています。

また、世界中の1,000社の過去5年間の年次報告書で、自然言語処理検索を活用し、企業アジェンダに関するデータの重要性と、それに対応するCDOへの影響を調査しました。

CDO 2021 infographic

企業はデータを語る

1,000社の年次報告書のキーワード分析により、今日の投資家への報告では、5年前よりもデータを主題としたものが増加していることが確認されています。全ての企業が社会全体で急激に拡散するデータに対応する必要があることを考えると、これは私たちの期待を裏付けています。

現状を理解するために、ある企業が年次報告書でデータやデータ関連用語(分析、機械学習、AIなど)に言及した回数、すなわち「データ言及頻度」を測定しました。 その結果、一般的な企業は年次報告書の中で48回データに言及していますが、その言及数は1~2回という低頻度なものから200回という高頻度なものまで、企業間で大きく異なります。

調査対象の全企業の3分の2が、2017年以降、データ言及を全体的に増加させていることが分かりました。これらの企業のデータ言及頻度は、2017年以降78%増加しています。

データへの言及頻度

データに言及する頻度が増加した企業における年次報告書内の平均データ言及回数(2017~2022年)
2017
2018
2019
2020
2021
2022
1
12022はStragey&予測

CDO採用数の継続的な増加が明らかに

CDO採用数の年次推移
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
1
12022はStragey&予測

CDOはいまだ普及途上

5年前はCDOの役割が比較的まだ珍しかったことを考慮すると、この割合でも明るい方向に向かっていると言えます。さらに、CDOの6割がCxOのメンバーとなり、企業全体のデータをマネジメントしています。これは、取締役会とCEOが1人の経営幹部にデータ活用の成功に向けた役割を担わせ始めていることを示唆しています。

CDOのほぼ半数が2019年と2020年に任命されました。2021年の最初の数カ月の動きを考慮すると、年末までにさらに175人のCDOが任命されると予想されます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の余波で、上昇傾向が今後5年間続くのか、それとも収まるのかは分かりません。

CDOが経営層にもたらすものとは ?

 

地域別CDO設置状況

北米
%
南米・ラテンアメリカ
%
欧州
%
中東・アフリカ
%
アジア・パシフィック
%

不均衡な広がり ――多くの地域と業種でまだCDO設置は途上

CDO設置は大西洋両岸で顕著:調査対象のうち、北米に拠点を置く企業の3分の1はCDOを設置しています。欧州の場合は4分の1です。世界的に見た場合、CDOの80%以上が北米または欧州の企業で働いており、その中には米国の約半分が含まれます。

米国が世界的なデータ革命の先駆者であり続けることを考えれば、キャリアアップを目指す野心的なCDOに対する米国企業の魅力は簡単に理解できます。欧州でCDOの普及が進んでいるのは、世界で最も厳しいデータ保護規制のいくつか、特にEUの2018年一般データ保護規則(GDPR)が原因の1つである可能性があります。

アジア太平洋地域に拠点を置く企業は、北米の企業よりもCDOの設置割合が5分の1です。中国では、国有企業と民間企業の割合が増えており、役員クラスがビジネス全体のデータ管理と監視に責任を負っています。

データの言及内容・頻度から見るCDOの存在が企業に与える影響

CDO設置企業は、未設置企業よりも10%高い頻度で「防御」関連のデータに言及しています。一方で「イノベーション」関連のデータ言及は同じです。企業によるデータ使用に対する公的および規制上の監視が強化されており、データのプライバシーとセキュリティのルールに違反する企業は経済的損失を被ることが明白であることを考えると、これは理にかなっています。CDOは、データ統制に対し経営層の信頼を獲得するために、市場と世論を安心させる必要性が生じます。

今後のCDO市場

CDOの役割は、データの急増、およびデータをベースとしたテクノロジーの急速な進化を背景として、いくつかの主要市場で持つべき牽引力を獲得し始めています。ますます多くの企業が株主と、より頻繁にデータを話題にするようになっており、それが、より広い執行権限を持つCDOの新たな需要を呼び起こしています。

全体として、過去2年間のCDOの任命増加は、CDOの役割が短期的には成長し続けることを示唆していると私たちは考えていますが、企業がいまだにCOVID-19の前例のない影響を受けていることを考えると、その規模や期間は不確実であると言えます。企業に対しては、CDOをすでに任命しているか、またはCDOの役割定義を検討しているだけであるかに関わらず、この最初のCDO調査の結果に基づいて一連の重要なアジェンダに対処することをお勧めします。また、私たちは現在CDOである方またはCDOを志望する方にも、問うべき重要なアジェンダを挙げました。

Rebecca Chandler、John Studley、SiddarthKalasapurもこの記事に寄稿しました。

調査方法

私たちは、世界最大級の2,500の上場企業におけるCDOの設置率と役割について初めて調査を実施しました。調査では、CxOまたはCxOの一段階下のレベルのCDOのみを対象にしました。また、これらの企業の年次報告書1,000件にわたって自然言語処理検索を活用して、CDOを設置している組織と企業アジェンダにおけるデータの優越性との間に関連性があるかを調査しました。

主要メンバー

北川 友彦

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

メールアドレス

高橋 功

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

メールアドレス