自動車部品メーカーに求められるもの

2017-1-18

自動車の部品、組み立て品、システムを供給している企業は、販売地域の変化や技術的な既存秩序の破壊に順応していく中で、製品ポートフォリオの再評価をしなくてはならない。

2008年から2009年にかけて米国では自動車メーカーに救済措置がとられ、物議をかもした。事情に詳しくなければ、これは行き詰まった米国自動車産業の大手2社、すなわちゼネラルモーターズ社とクライスラー社の救済だけが目的だったのだと思われても仕方がない(デトロイトの大手3社であるデトロイトスリーのうち3番目のフォード社は倒産を免れた)。だが実は、総額800億ドルの融資と資金援助は、自動車メーカーを中心に集まっている膨大な数の部品メーカーが生き残れるようにするという目的もあった。米国自動車研究センター(CAR)の2015年の報告書によると、こうした部品メーカーはあまり注目されないが、その雇用は米国の車両製造業の雇用の約60%を占め、その生産額がGDPに占める割合は1.5%にも上る。

救済措置がとられたにもかかわらず、米国の自動車部品メーカーの4分の1以上が倒産し、何十万もの雇用者が職を失った。だが生き残った部品メーカーは、以前より強くなって苦境から立ち直った。乗用車の売り上げは、2010年には1,190万台だったのが、2015年には1,700万台以上に増加し(CAGRは10%)、それにともなって部品メーカーの収益性も上昇した。(図表1参照)

北米小型乗用車のアセンブリー市場

それから10年もたたずに、自動車産業とその部品メーカーは現在、また大きな変革期を迎えて、生き残る努力を強いられている。しかし今回の崩壊は内側から来るものである。構造変化によって利益率の計算方法が変化し、最終的にどの企業が優位を保ち続けるのか、どの企業が適応できなくなるのか、どの企業が完全に姿を消してしまうのかが予測できなくなったのである。

部品メーカーは3つの重大な課題に直面している。第1の、そして最も差し迫った課題は、売り上げの世界地図が描き変えられつつあるということである。PwC Autofactsによると、今後数年間の売上台数成長率の3分の2以上は、中国、インド、東南アジアといった新興国や新興地域が占めることになりそうである。

そのため、これまで数十年間、北米やヨーロッパを業務活動の中心地として重視してきた自動車メーカー(OEMとしても知られている)やその部品メーカーは、今後は製品戦略、組織構造、さらには研究開発センター、工場、アフターサービスオペレーションの場所を考え直さなければならない。第2に、自動車産業が排ガス規制や燃費規制の順守に努める中、自動車メーカーは、費用対効果の高い排ガス制御や代替的パワートレイン技術の迅速な開発については、すっかり部品メーカーに頼り切るようになった。最後に、今の自動車はよりいっそうデジタル的に繋がり、自動化され、そしてドライバーと相互作用しているため、OEMは自動駐車機能、自動ナビゲーション機能、ウェブベースの娯楽情報システムなど、ドライバーがもっと楽しく安全に過ごせる装置やソフトウエアを求めている。

これらのいずれの課題についても、既存のメーカーはさらに集中的な投資を行う必要があり、それと同時に、自動車産業以外の新旧のテクノロジー企業や、中国・インドなどの低コスト地域からの新参入企業をはじめとする新しい競合相手に対抗しなければならない。したがって、部品メーカーは自社のポートフォリオポジションについて計画的かつ熟慮しながら、必要な投資資金の調達と成長のために、コスト削減や生産性向上の方法を見つける必要がある。部品メーカーは、自動車産業エコシステムの中で収益性の高い場所を維持し、競合相手に対して高い参入障壁を保つために、自社や自社製品を差別化する方法を学ばなければならない。

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PDFファイル内の執筆者の所属・肩書きは、レポート執筆時のものです。

“The Demands on Auto Suppliers”, November 9, 2016。

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