コナグラ (Conagra) : 戦略的な抜本改革

コナグラ・ブランズは、徹底した企業改革により、年商80億ドルの「純粋に本業のみに絞り込んだ(pure-play)」ブランド消費財製造企業となりました。以前よりはるかに焦点の合った、より強力な成長志向の伴うケイパビリティ(組織能力)、敏捷な組織、凡庸な結果に満足せず挑戦を続ける文化を備えた企業へと生まれ変わりました。

「これは、小心者には向かない仕事だ」と、2016年、コナグラ・ブランズのショーン・コノリーCEOは『シカゴ・トリビューン紙』の取材に答える中で語りました。1年以上経った今から振り返っても、これは野心的な計画でした。

 

わずか2年前のこと、当時コナグラ・フーズという社名だった同社は、年商180億ドルのプライベートブランド(PB)製品およびブランド消費財の巨大製造業グループでした。しかしその多様な事業全般において成長鈍化の悩みに直面しており、徹底した企業改革が必要となっていました。今日、改革を終えたコナグラ・ブランズは、年商80億ドルの「純粋に本業のみに絞り込んだ(pure-play)」ブランド消費財製造企業となりました。PB事業を売却、垂直統合されたジャガイモ事業を分社化、本社移転、コスト構造改革、トレンドに乗った数個のブランド買収、オペレーティング・モデルの再編を行い、コナグラは、以前よりはるかに焦点の合った、より強力な成長志向の伴うケイパビリティ(組織能力)、敏捷な組織、凡庸な結果に満足せず挑戦を続ける文化を備えた企業へと生まれ変わりました。

 

この取り組みにおいて重要な役目を果たしたのが、PwC Strategy&であり、100年の歴史を持つコナグラを、21世紀の市場における力強い存在へと構築するのを支援しました。コノリーCEOは、Strategy&を、自らの計画を推進するにあたっての「強力な加速器」として働いてくれたと評価しています。一方、Strategy&側は、本件は疑問の余地なく、この規模のクライアント・プロジェクトとしては最も速く進行したプロジェクトの一つであり、CEOのビジョンの明快さが要求されるものであったと考えています。

2015年、競合各社は、消費財(CPG)業界における買収先を求めて、様々な候補企業を物色していました。オマハを本拠地とするコナグラ・フーズは、大手ながら業績不振のプレーヤーでした。業績こそ競合に劣後していたものの、ストーリー性があり知名度も高い同社のブランドは、きわめて大きな潜在的価値を持っていました。

 

2015年4月に、企業の使命の焦点を合わせ直すために着任したコノリーCEOは、コナグラ・フーズの多くの社内プロセスの多くが時代遅れになっていることに気づきました。大企業の官僚主義の全てが存在しているのに、大企業の利点を活用する機会がほぼ完全に逸失していたのです。単純に言って、事業運営コストがかかりすぎていたのです。初期の評価を行った後、コナグラ・フーズが存続するためには、“格闘家として通用する体重まで”迅速に減量せねばならないことが明らかとなりました。

コナグラ社 (Conagra)

焦点を定めて着火する

コノリーCEOは、唯一の解決策は根本的な改革しかないことを覚悟しました。同社は、CPG業界において純粋なプレーヤーになるために体制を整え、市場のニーズにより迅速に対応する必要がありました。企業全体で効果的な改革を推進するために、企業文化を飛躍的に変革する必要がありました。コナグラ・フーズの従業員は、あたかも小規模な企業で働いているかのように、もっと起業家精神を持つことが求められました。コノリーCEOは、この新たな考え方を「ザ・コナグラ・ウェイ」としました。

 

「コスト削減自体を最終目的としてではなく、利益ある成長と、より強力なブランドを実現するための資源確保の方法として議論した。この点が根本的に不可欠な点であった」と、コノリーCEOは述べました。
コノリーCEOが着任後、わずか数ヶ月で、アクティビスト投資家ヘッジファンドであるJANA パートナーズLLCが、コナグラ・フーズの株式の7%を取得しました。彼らは、コノリーCEOと同様の結論を導き出し、改革の実行を要求し始めました。抜本的改革は既に着手されており、ファンドからの追加的な後押しが、変革の範囲に関する取締役会による承認を追認する形となりました。

 

しかし、コナグラ・フーズは大企業で方向転換も難しいものでした。そこでStrategy&は、大人員で構成されるチームをいくつかに分割し、同社の多数の資産やワークストリームを分担させることで、本プロジェクトに本格着手しました。Strategy&のチームは、コナグラ・フーズの上級および中間管理職と違和感のない形で統合し協働しました。コノリーCEOはStrategy&の役割について、感情を交えない客観的な評価者と、タスク管理者の両方を担うチームと見なしていました。

焦点を定めて着火する

 

本気で改革プロジェクトに着手し始めた後は、誰が外部の第三者で、 誰がコナグラ従業員なのか区別がつかなかった。それほど、一つのチームとして団結して、プロジェクトを実行していたのである。

ショーン・コノリー、CEO
コナグラ・ブランズ

 

「Strategy&のプログラム管理に関する専門知識のおかげで、我々は組織化でき、毎週、その時点で最大の課題に取り組むことができた」と、コノリーCEOは述べます。「我々は明確なフォローアップを実行し、責任の所在も一元化して明確にしました。こうした技術や知識は、我々が単に仕事を完遂するだけでなく、例外的な速さで完成することも支援してくれた。」

 

ゼロベース評価による予算策定:「差別化」VS「つけっぱなしのあかり」のコスト

 

コストに対する、積極的なゼロベース評価が開始されました。オペレーションに関する問いは、「これは差別化を推進するか?それとも事業運営維持のためだけの“つけっぱなしのあかり”的な費用か?」の判別です。その費用が「つけっぱなしのあかり」の費用であれば、次に問うべきは「その費用をいかに削減できるか」。また、それ以外の費用については、それぞれの項目が実際にはどの程度の付加価値を提供しているかを評価しました。

 

企業に関する全ての側面、発生する全てのコストが、パーキングロット方式(すべてのコストを社内から駐車場にひっぱり出して仕分けする)の客観的な評価の対象となりました。「全ての部門に、全ての費用項目を一覧にして提出、“駐車場にひっぱり出した”上で、それらの費用を一つ一つ評価にかけては、その支出を正当化する理由を説明させるプロセスを行った。」と、コノリーCEOは述べます。

 

集中的な作業を終えて3ヶ月が経過後、成果は目に見える形で現れました。組織構造は単純化され、最適ではなかった管理スパンは廃止されました。業界最高水準にすべき領域と、単に競争力を向上させるべき領域に関して、優先順位を決める重要な決断も下されました。この決断を下すにあたって、一部のITおよびバックオフィス機能を外注することが望ましいとの判断も下され、大幅なコスト削減につながりました。また、副産物として、規模拡張性が改善されました。

 

今回の改革期間を通じて、コナグラ・フーズは製造の立地と人員構成を劇的に変革しました。人員削減だけでなく、相当な規模の事業売却や分社化、選択的な外注化も行いました。事業売却や分社化を通じて、多数の従業員を別の職位へと異動させたうえ、一部の職位については削減を余儀なくされました。コノリーCEOは、対象となった従業員全員が寛大かつ公平な処遇を受けられるよう、特に尽力しました。

 

「あのことが、今回の件に関して最も心の痛む側面だった」と、コノリーCEOは語ります。「しかし、一旦後ろに下がって大きな視点で物事を見た場合、長期的に競争力をいかんなく発揮できる企業を創出することが、我々経営陣が従業員に対して出来る最善のことだ。それを実現するためには、厳しい決断を下さなければならない。」

 

本社機能の移転

 

また同社は、事業所移転が利益になるという認識も得ました。多くの機能部門が既に、オハマからシカゴ郊外の事務所に移転していたこともあり、本社の従業員を全員シカゴ中心部の新拠点に移転させることは合理的でした。
コナグラ・ウェイの推進という側面からも、全員を一つ屋根の下で就業させることで、組織のサイロ化を打破し、新たな企業文化の定着につながりました。

 

「突然、みなが一つになって、リアルタイムで協働し始めた。新たなオフィスにおいて、廊下で偶然出会ったら、5分で用事を片付けるという感じで物事が進んでいった。わざわざ5日後に電話会議を開くというよりも。社内のあらゆる場所に再び、活気がみなぎっていた。」

 

コナグラのチーム・メンバー
マーケティングとセールスの人材も、この業界のハブ的都市であるシカゴなら、これまでよりも多く確保することが可能でした。しかし、オマハも、重要なオペレーション、製造、研究開発等の各部門および間接部門を擁する主要な事業所として残しました。

 

事業売却計画を策定・実行するにあたってStrategy&の支援を得つつ、PBの食品事業は売却されました。さらに、アイダホ州に本拠を置く、業績好調なジャガイモ製造加工事業であるLamb Westonも、本業への資源集中という企業ミッションから外れるために分社化されました。Lamb Weston事業は、単独事業として好調だったため、分社化は同社の株主価値を大いに高めました。2016年11月、消費財ブランドをコア事業とする方針を反映するため、残りの事業をコナグラ・ブランズへと社名変更しました。

 

コナグラのケイパビリティ

 

コノリーCEOとStrategy&は、コナグラ・ブランドのコア・ケイパビリティを構築し拡張することが成功への鍵であると確信していました。過剰なオペレーションとプロセスを削減することで、同社は、最も優先順位の高いCPG事業を強化するために資源を再割り当てすることができました。小売店における販促活動、統合化された利益管理の二点に、特に注意が払われました。

 

コナグラ・ブランズは、小売店で自社製品を広めるため、適度な投資を毎期、行いました。しかしインセンティブ制度が数十年前から変わっておらず、これを刷新することで業績は大きく改善すると思われました。Strategy&は、消費財販売のツールとして使える最先端のシステムの一つである、SAPの小売店管理(Trade Management)導入を完了させました。同時に、売上成長管理のためのケイパビリティ構築も行いました。徹底改革の考え方に基づき、小売店舗は、より効果的な価格設定と販促を通じて売上量を増大させることへのインセンティブを与えられました。このプロセス変更の結果、小売店は利益を増大させるとともに、コナグラ・ブランズが支出する販促費を、従来よりもはるかに効果的に活用できるようになりました。

より良いやり方

プロジェクトの成果は迅速に達成されました。18の異なる施策が実施され、成果の大半が実施開始から18ヶ月以内に達成されました。これには、修正した手順の実施、冗長または不要なプロセスの外注化または廃止、オフィスの一ヶ所への集中化、人材の異動および合理化、コアではない事業の分離化などが含まれます。コナグラ・ブランズは現在、合理化された戦略と、より現代的な製品ポートフォリオをもって、成長加速の機運を高めています。Strategy&が支援したプログラムを通じて、2億ドル以上の販売管理費が削減されました。小売店舗への展開を最適化したことで、さらに1億ドルの支出削減が可能となりました。コナグラ・ブランズは現在、比較対象となる企業群の中で、上位25%にランクインしています。同社はこの改革によって、2015年5月から2017年5月までの期間で40%超と、相当な総株主資本利益率を達成できました。コナグラ・ブランズの新たなプロセスはまた、翌年度に向けた、よりイノベーティブな新製品ラインの開発にも役立ち、それによる売上増効果が期待されます。

最も重要な点は、Strategy&との取組みを開始してから2年にも満たない現在、コナグラ・ブランズが、従来とは全く異なる企業になったということです。組織のあらゆる階層の個人が、経営者目線で思考できる組織文化に、再び火を灯すことができたです。Strategy&と協働し、詳細な評価と、最上層から最下層までの組織再編成を経たことで、同社は競争の激しい業界において、今までよりもはるかに優位なポジショニングの企業へと自己改革することに成功したのです。

より良いやり方

A practical approach to business transformation

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ダイヤモンド社より、2017年11月22日発刊

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クライアント事例: Fit for Growthを導入した実例

S&P Globalにおける企業変革
数十年間、買収を続けてきた企業が、賢明な会社分割の判断を下せた理由は?-S&P Global(旧:McGraw-Hill Companies)は、金融情報とアナリティクスというコア・ケイパビリティに集中して利益率向上と成長を実現するために、教育事業を会社分割してオペレーティングモデルを改革し、企業価値を230億ドル増大させました。