消費財メーカー: 新マーケティング手法

背景

かつて経済成長期の日本の消費財市場では、「不特定多数の顧客」に「流通を介して接する」構造であり、「ほぼランダムな購買行動を取る」顧客に対してプロダクト別にマス広告中心のメッセージを大量発信し、自社のプロダクトが選択される可能性を高めることが重要でした。

しかし、その後国内市場が成熟化・縮減する中で、マス広告による顧客獲得効果が従来よりも減少し、リピート顧客のベースを維持・拡大することの必要性が高まってきました。経営資源を海外市場に振り向けたいという事情もあり、国内市場では、マーケティング費用を抑えながらプロダクト全体で安定した収益を確保することが最大の関心事となってきました。

そのためある消費財メーカーでは、従来の前提にとらわれず、マーケティングの費用対効果(ROI)を明らかにし最適化する新たな仕組みと体制で収益力を強化したいと考え、マーケティング戦略に深い知見を有するStrategy&*とのプロジェクトを行ないました。

活動内容

このプロジェクトでは、クライアントおよびStrategy&の持っていた初期仮説を、消費者調査と他社先進事例ベンチマークで検証し再構築するアプローチが取られました。 まずクライアントが持つ既存の消費者調査データを解析し、プロダクト横断で最適なマーケティングを企画するために、顧客をどのようなセグメンテーションで考えるべきかを検討しました。具体的には、「同じ顧客による複数プロダクト購入がどこでどのように起こっているか」「顧客の一生涯を通じて複数プロダクト購入の金額はどの程度か」「何がそのドライバーとなるか」などを検証しました。

次に、文献調査とインタビューを通じ、内外の先進事例7社の取り組みを分析しました。その結果、成熟市場でのマーケティング革新とマーケティング費用対効果の改善にはいくつかの手法パターンがあり、パターンごとに組織として必要な前提条件があることが明らかになりました。 クライアントにとって他社の全ての手法をそのまま受け入れるわけではありませんでしたが、何を目指し何は目指さないのか、方針の明確化が行われました。 これらを踏まえ、共同討議を何度も繰り返し、改革案の骨子と改革を実行する組織が満たすべき要件・ミッション・責任権限を設計していきました。 検討の最終段階では、過去の販売実績を元に、いくつかのプロダクトを例として広告や販促の効果を新たに構築した手法で定量化し、マーケティングROIの「見える化」の実現性を検証しました。

成果

この検討の結果、これまでのプロダクト単位の知見とは異なる発見が得られました。複数プロダクトを横断で分析すると、顧客の購買行動には、あるライフタイムイベントの前後で大きな変化があり、また各プロダクトの性質も、買い合わせの軸になるものと派生的なものなどそれぞれ大きく異なることが明らかになったのです。

さらに、マーケティングROIの改善に向けた「見える化」の仕組みや新組織に対し社内では実現性に懐疑的な声が多かったのですが、検討で骨子とポテンシャルを示すことで、社内コミュニケーションを大きく前に動かし組織改正を実現させることができました。

* 本プロジェクトはStrategy&に改称する以前に実施したものです。